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平尾を中心としたその周辺の地域住人・商店・事業所などによる地域密着情報サイト“ひら・ぐら”の平尾の歴史紹介第5話です。

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平尾の歴史(史跡)
散策 第5話
時には横道にそれますが

平尾の歴史(史跡)散策 第5話

鴻ノ巣山|平尾の歴史

【 時には横道にそれますが 】

 今回は少し趣向を変えて、現代版の平尾の話題を交えながら、ついでに昔話を展開してみたいと思います。

 例によって、おいしゃんと子供達の会話ですが、いつもは小学生の子供相手でしたが、13~4年ほど一気に成長し、大学生になった3人連れに、ばったり出くわした――と云う設定で、話は進んで参ります。

 果たしてどんな話が飛び出すことやら・・・乞うご期待!!!


平尾の昔話――おいしゃんと大学生になった子供との会話

【登場人物】
おいしゃん、大学生A・B・C

おいしゃん、おいしゃん、なんごつ知らんぷりして、通り過ぎよんしゃーと?
ン? 誰やったかいな? 人違いしとっちゃなかろうな?
ヒャーヒャー、おいしゃんな、おったちば見わけのつかんごつなっとらっしゃー!
あん頃から10年以上は経つちょっちゃけん、分かんしゃれんとも、無理はなかろうバイ。
ぷっひゃっひゃっひゃ、その口ぶりから察するに、むかーしおいしゃんに平尾の昔話ばせがみよった『悪たれトリオ』じゃな。
流石おいしゃん、二言三言でおったちの正体ば見破らしゃったバイ。
こん調子なら、例の名調子――ご用とお急ぎでない方は、ぐぐっと寄ってらっしゃい見てらっしゃい――は健在のごたるバイ。
おーおーおいしゃんな、、見かけも脳みそもピンピンしとるぞ!
そん一言ばば聞いて、安心したバイ。
しからばおいしゃん、久方ぶりに、聞きたい話が数々ござる。
おーおーその一言、待っておったぞ!
ではおいしゃん、その昔おったちが小学生の頃、『五ケ村合併』の話ばしてやらっしゃったこつは、覚えとらっしゃーあ?
ホーラ、あン頃平尾村にゃ、人家がたったの106軒、人数がわずか640人やったーちゅう話のこつバイ。
覚えてちょるクサ! 若久村が一番ちんか村で、人家25軒、住民177人やった  ちゅう話のこっちゃろ?
流石(さすが)ぁ、おいしゃん、冴えとらっしゃー!!
そこで、おいしゃん、あン時平尾ン八幡さんやら公民館辺りの雑木林ン中にゃ、えらーい大っか大蛇が、住みついちょったちゅう話ば、さっさっちゃろが・・・
おーしたぞ、したぞ!
実はおいしゃん、今日はそン話ば聞きたかち思うて・・・
よし分かった! しかし久しぶりに会うたこっちゃけけん、その前においしゃんからあんたどんに、聞いて見たかこつがあっとたい。
おいしゃんがおったちに、聞きたかこつがあるって?
へーそりゃ又何じゃろかい?
かれこれ10年位前になろうかち思うが、おおっか地震があったこつば覚えちょろうもん。
覚えちょるバイ。ありゃぁ確か4年生の春ン彼岸休みのこつやった。
あン時あんた達は、どこで何ばしよったか覚えちょるな?
覚えちょるくさ! あげなおおっか地震、忘られるもんかい。
あン日は彼岸休みやったけん、平尾霊園の公園ン中で、ドッチボール遊びばしよる最中(さいちゅう)やった。
突然地面が揺れ出して、あっちゃこっちゃの墓石が、ガラガラピッシャンちゅうて(くず)れ出したもんで、もう魂消(たまげ)っしもうて地面に座り込む者やら、はいずり回る者やら、そりゃもう皆なざまぁなか有様やった。
そりゃぁそうやったろうなぁ。そりゃそうと、あんた達ァあの最中《ゴオー》ちゅう得体(えたい)の知れん音は、聞かんやったな?
逃げ回るとに夢中で、そげな音は聞こえんやったバイ。
そんならおいしゃんな、どこで何ばしござったと?
あん時ぁ西新の方の得意(とくい)さんに頼まれて、庭木の手入れの最中(さいちゅう)やった。大(おお)っか松の木のてっぺん近くまで昇りあがって、《さぁ枝ば落とそうかち思うて(のこぎり)ば入れようか》と思うた瞬間、得体の知れん音がしたもんけん、咄嗟(とっさ)に松の木にしがみついた。そン直後ぐらぐらぐらっと木が揺れ出してな、あン音ば聞いちょらんやったら、木からさでくり落ちて一巻の終わりっやったろう。
おいしゃん、そりゃぁ命拾いばさっしゃったなぁ!
そうたい! 後で福岡じゃ空前絶後の大地震やったちゅうこつば聞いて、ほんなこつ命拾いばしたと、胸なでおろしたことやった!
おいしゃんな、よっぽど《フの良か》人やったつバイ。
しかし、おいしゃん《フも良かった》ろうバッテン、バサロえすかったっちゃなかと?
そりゃぁあげな大っか地震な初めてやったけん、えすかったバーイ!
流石のおいしゃんも、生まれて初めて腰抜かしゃっしゃったちゅう訳かいな?
そん通りたい、と云いたかとこやバッテン、実は、腰抜かすごたる目に会うたのは二度目のこつやった。
と云うことは、前にも腰を抜かすごたることがあったと?
そりゃ又どげなこつちゃろうか、戦争やろか、幽霊(ゆうれい)やろか?
ピンポーンて云いたかとこやバッテン、残念ながら当たっちょらん。
そんなら何やったと?
あんた達ゃ【肝試(きもだめ)し】ちゃ経験したこつぁあるな?
話にゃ聞いたこつはあるバッテン・・・
実際に経験した者は、おったちの時代じゃ誰もおらんめぇ。
そうじゃろうなぁ! いまどきゃ青年達が子供ば集めて、肝試しするなんてこたぁしよらんめぇ。
おいしゃんが子供ン頃は、そげなこつが流行(はや)っとったと?
流行(はや)っとったちゅうより、【肝試し】は男の子達にとっては、避けては通れん神聖な儀式みたいなもんやった。
へーっ、で、どげな風な儀式やったと?
平尾の男ン子はな、15歳になったら夏休みのある日、青年から呼び出しがある。
もし、その呼び出しの時、さぼったりしたらどげんなると?
さぼりでんしょうもんなら、村一番の臆病者(おくびょうもん)ちゅうレッテルば()られて、仲間はずれにされ、誰からも遊び相手にもしてもらえんごつなる。
そりゃぁむごかバイ! 仲間はずれにされるごつ、辛かもんはなかもんな。
そうじゃろが! 幸いおいしゃんが15ン時ぁ同級生は4人おった。
4人も仲間がおったら、そげんえすがるこたぁなかったっちゃなかと?
おいしゃん達もそンつもりでおったところがじゃ・・・
ふむふむ、どうやら《話しゃただごとじゃなかごつ》なってきよるごたるばい。
とにかく、夕暮れどきになったら、青年達がおいしゃん達ば誘いに来た。【雁首(がんくび)そろえて黙ってついて来い!】と(おど)されて、連れて行かれた所が、鴻ノ巣(こうのす)山の(ふもと)の笹やぶの中――つまり今の平尾霊園辺りの(やぶ)の中やった。
霊園辺りやったら、そげんえすうなかバイ
ところがどっこい、今は綺麗(きれい)に整備されて公園のごつなっとるばってん、当時の鴻ノ巣山一帯は、草ぼうぼうの気色(きしょく)の悪かとこでな、昼間ですら大人達でん近づきたがらんごつ、えすかとこやったつぞ!
ふーん、それからどげんなったと?
藪の中をかきわけかきわけ入り込んだら、畳20枚分ぐらいの広っぱがあった。もうそン頃は日もとっぷり暮れて、懐中電灯がわりにカーバイトランプばひとつもたされて、《笛がなるまでここで待っちょけ、勝手にヤブの中から外に出るこたぁならんぞ》と、おどしつけられて、おいてけぼりを食わされた。
どうせ後から青年達がおどかしに来るっちゃなかと?
おおかたそういうこっちゃろうと、おいしゃん達も腹をくくって、カーバイトランプに灯りをつけて、そん時にそなえて待っちょった。と、10分ほど()った頃、左手前方10米先あたりの笹やぶが《さわさわさわ》と妙な音を立てて揺れ出した。
ホラホラホラ、青年達が忍び寄って来たっちゃなかと?
それにしちゃえろう見え()いた(おど)かしじゃんね。
とにかく《灯りば音ンする方に向けてん》ち云いながら、4人でその得体(えたい)の知れん音を見て、おっ魂消(たまげ)てしもうた。
正体は何やったと?
長さは5〜6メートル、胴周りは一升瓶ぐらいは優にあろうかちゅう大蛇が、目の先10米ばかりの藪の中を、左手の方からくねくねくねとはいずり回りながら、正面向けて迫って来た。
そりゃぁヤバかばい。
巻きつかれたらしまいバイ!
笛が鳴るとやら待っとくことやらいるもんかい! 笹やぶかきわけかきわけチン逃げりゃ良かったつたい!
そげなこつぁ云われんでちゃ分かっとったい! ところがな、あれが金縛りと云うもんじゃろう、4人とも足がすくんでしもうて一歩も動かれんとたい!
そりゃ益々ヤバかじゃんね。
おいしゃんもあン時ばかりは、一瞬大蛇に飲み込まれて一巻の終わりか――と思うたことやった。ところがな幸いなことに、大蛇はおいしゃん達の方は見向きもせんで、右手の藪の中へ消えて行ってくれた。
おいしゃん、そりゃぁよっぽど運が良かったつバイ。
今考えたっちゃ、大蛇が向かってこんやったこつが、不思議でならん。とにかくそげん思うて胸なでおろしたとたん、青年達がどやどやどやと藪の中に入って  来て、【お前達ぁ笛ン音は聞こえんやったつかぁ!】とばさろ()られた。それで大蛇が出て来て、声も足も云うこときかんやったこつば話した途端、青年達はおいしゃん達ばほったらかして、そん逃げ足の速かったこつ、今でちゃ目に浮かぶバイ!
青年達ぁよっぽど大蛇ンこつが、えすかったっちゃろうバい!
と云うことは、背年達は鴻ノ巣山にゃ、大蛇が住みついちょるこつば、知っとったちゅうことやな。
そりゃぁやばか肝試しバイ!
そン後がおおごとやった!
何があったと?
次の日になったら、隣村の小笹の長老達が平尾村ン世話人さんの所に押し掛けて来てな、【夕んべ平尾のガキ達が鴻ノ巣山の大将にワルサばしたに違いなか! そン証拠にウチの村のにわとり小屋が襲われて、一晩の内に10羽も食われてしもうた。まどうてもらおう!】ちゅうてな、えらい騒動になったちゅう訳たい。
それでどげんなったと?
青年団の責任者を呼び出し、小笹側に詫びを入れさせ、食われてしもうたニワトリについちゃ、10羽分現物で弁償して、こらえてもらい、なんとか決着をつけたちゅう訳たいね。
おいしゃん達に、おとがめはなかったと?
あげなえすか目におうて、おとがめまで受けた日にゃ引きおうた話じゃなか!しかし、その翌年から鴻ノ巣山での肝試しは、一切禁止になった。
そりゃぁおいしゃん達よりちんか連中は、えすか目に合わんですむちゅうて喜んだこっちゃろうバイ。
そげなこつよりも、おったちがそもそもおいしゃんに、聞いて見たいと思うちょった平尾の高台一帯にも、その昔大蛇が住んでたちゅう話は、どうやらほんなこつのごたるバイ。
ほんなこつっさい! しかし今はすっかり環境も変わってしもうて、だれーも大蛇の話しやら信用せんごつなってしもうた。
おいしゃん、そげんしょんぼりせんでちゃ良かじゃんね。おったち3人がおいしゃんから聞いた平尾界隈の昔話を、しっかり後世の人達に語り伝えて・・・
つまり、おったちが【平尾の語り部=稗田阿礼(ひえだのあれ)】になるつもりやけん、おいしゃんあんまりがっかりせんといて!
ほんなこつな! それば聞いて安心したバイ。よし、そんならアンタ達ももう大学生やな。立派な大人やけん今度近くの居酒屋で一緒に飲もうかな。なーにふところ具合は心配せんちゃ良か、おいしゃんにまかせときや良かと! ええな覚えとかにゃいかんバイ。そんならオサラバオサラバ!
終わり