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平尾の歴史(史跡) 散策 第1話 容見天神発祥の由来 |
平尾の歴史(史跡) 散策 第2話 飢人地蔵尊祭り |
平尾の歴史(史跡) 散策 第3話 野村望東尼 |
平尾の歴史(史跡) 散策 第4話 平尾村の今昔ばなし |
平尾の歴史(史跡) 散策 第5話 時には横道にそれますが |
身近な往古を偲ぶ時【 降る雪や 明治は遠くなりにけり 】とか申しすが、今年は元号が平成に終わりを告げ、新しい『大化の改新』を迎えようとしております。果たしてどんな元号に生まれ変わるのか、興味はつきないのでありますが、我等戦前生まれの昭和育ちにとって、まさに『 来る春や 昭和は遠くなりにけり 』――そんな感じがしてなりません。
さて今回は、歴史もずーと下って、明治・大正・昭和の三代にわたっての・・・まさにセピア色に包まれた平尾村の一端に触れてみたいと思います。
【へーっ、そーだったのかぁ!】と、きっと口あんぐりとされるかもしれません。
本シリーズ(平尾の歴史散策)の第一巻で、800年ほど前の鎌倉時代の博多古地図をご覧にいれておりましたが、その中で現在の天神・中州・春吉辺りは、そっくり海に中でありましたネ。その辺のことを、少しだけ頭の片隅に思い浮かべながら、ご覧頂きましたら有り難いと思います。
例によりまして、おいしゃんとこども達の会話の形式で話を進めて参ります。話の盛り上げのため、ふんだんに博多弁が飛び交いますが、なにとぞよろしくご理解のほどお願い致します。
※博多弁注釈
とつけむのう=とても おったち=俺たち えすい・えすか=こわい えすがる=こわがる おおっか=大きい のうなる=なくなる おいてけぼり=取り残される ごつう=とっても・すごく しまい=おわり さろ=たくさん ゆんべ=夕べ まどう=べんしょうする。
【登場人物】
おいしゃんと3人のこども(A・B・C)
A | おいしゃん、昔、平尾ン公民館の辺(あた)りゃ、牧場やったっち話は、ほんなこつ? |
大 | ほんなこつクサ! あの辺りゃ福岡市ン牧場発祥の地として有名なもんたい。 |
B | やっぱしほんなこつやったとたい。今じゃ想像も出来んごたるバッテン、そン頃の平尾ちゃ、どげな風なとこやったと? |
大 | 平尾小学校がでけたつが、終戦直前の昭和18年(1943)のこつやったが・・・ |
C | 今年が2019年やけん、76年も前になるとかいな。 |
大 | 学校が出来る前まではな、あの辺りゃじめじめした湿地帯(しっちたい)で、蛇やら蛙やらがウジョウジョしちょったげな。 |
A | ほんなこつかいな? おいしゃんな、おったちが子供やけんちゅうこつで、嘘(うそ)ばっかし云いよっちゃなかと? |
大 | なんが嘘じゃろかい! そン証拠にあン近くにゃ《大蛇ケ浦》ちゅう地名まであったちゅう証拠の地図が、今でもちゃーんと残っちょっとぞ! |
B | そりゃいつ頃の地図かいな? |
大 | 疑い深いやっちゃな。そんなら平尾八幡さんのすぐ下側に、【円龍寺(えんりゅうじ)】ちゅうお寺さんがあっとば、あんたどんも知っちょろうもん? |
C | そんくらい、おったちでちゃ知っちょるバイ。 |
大 | あンお寺さんが平尾に移ってこらっしゃたつが、1708年、今からあらかた300年ばかし前のことやげなが・・・ |
A | 流石(さすが)おいしゃん、そげん昔のこつまで、よう知っとらしゃーこつ! |
大 | こんくらいのこつなら、朝飯前のこったい! |
B | そんなら、そン証拠の地図が『円龍寺』さんに、保存されちょると? |
大 | そん通りたい。詳しかこつは分からんが、おおかた明治・大正の頃まで、そげな昔の地名が続いっちょったっちゃろうと思う。 |
C | おいしゃんより年寄りン人達に聞いたら、分かるっちゃなかと? |
大 | おいしゃんもそげん思うて、いろいろ聞いちゃみたバッテン、そげーん昔のこつば覚えている人達や、もうほとんどおらしゃれんごつなっとる。 |
A | そうかぁ。なら、他に何ンか確かな資料ば、おいしゃんな持っとらっしゃれんと? |
B | おいしゃんも常々《平尾ン生き字引》とか、云われよんしゃーとやけん、もちっと説得力のある資料ば見せんと、おったちゃ信用せんバイ。 |
大 | なんちゅう小生意気なこつば云う、ガキんちょ達かいな。よーしそんなら分かった! あんたどんがキャフちゅう位、確かな証拠ば見せちゃるたい! |
C | ひっひっひっ、ホーラおいしゃんが本気にならっしゃったバイ。 |
A | 作戦成功たい!さぁおいしゃん、どげな証拠品ば見せてやらっしゃーと? |
大 | 大人ばおちょくりおって、ふてぇがってぇ怪しからんこつバッテン、地元ン歴史に興味ば持つこっちゃけん、大目にみてやるたい。 |
B | おいしゃん、ここは太っ腹、太っ腹!! |
C | そうバイそうバイ! おったちも大人ンなったら、平尾ンこども達に地元ン歴史ば語り伝えてやらにゃいかんっちゃけん・・・ |
A | おいしゃんも、ほんなこつば教えてやらっしゃれんといかんバイ。 |
大 | いちいち念押しせんでちゃ、そん位なこつぁ分っとる!! |
B | そんなら皆な、耳の穴かっぽじって、おいしゃんの話ば聞こうや。 |
B | ところでおいしゃん、円龍寺さんの昔の地図の他に、平尾の歴史が一目でぱっと分かる様なもんは、何かなかと? |
大 | あるぞあるぞ!! 明治22年ちゅうたら、1889年のこつやが、今から云うと・・ |
C | 今年が2019年やけん、えーと・・・ |
A | ざーっと130年ばかり前になるバッテン、そン頃何があったと? |
大 | 【五ケ村合併(がっぺい)】ちゅうのがあってな。 |
B | 五ケ村合併ちゃ、何のこつかいな。 |
大 | まぁ黙っておいしゃんの話ば聞きよったら分かるたい。とにかくそン頃の平尾ちゅうたら、天神町やらの町中(まちなか)に近かった割にゃ、百姓家ばっかしの村やったげな。 |
C | と云うことは、田舎も田舎の《ど田舎》ちゅうことやったと? |
大 | そン通りたい。そン頃は平尾だけじゃのうて、回りの村々もみんな狸や狐やらがごろごろしちょる様な、草深い田舎村やったげな。 |
A | 分かった! そげな村々が集まって、一つの大きな町を作ったちゅうのが、五ケ村合併ちゅうこっちゃろ? |
大 | ピンポーンと云いたいとこやが、五つ集まったっちゃ、やっぱし《村》でしかのうて、町て云うにゃほど遠かったげな。 |
B | 五つの村ちゃ、どことどこやったと? |
大 | 平尾、高宮、野間、若久、屋形原の五つの村のこったい。 |
C | 平尾の他は、みーんな南区ばっかしか! |
A | なして薬院方面は、含まれちょらんとかいな? |
大 | 薬院3丁目やら4丁目は、今は平尾校区になっちょるバッテン、あン頃は浄水通りから北側一帯は、薬院村て呼ばれよったとたい。 |
B | ふーん。そんなら合併後の村の名前は、何になったとかいな? |
大 | 那珂郡(なかぐん)八幡村(やはたむら)て変わったとたい。しゃーけん今の高宮小学校は、『八幡小学校』そして西鉄電車の平尾駅は、出来た当初は【八幡駅】て云よったげな。 |
C | 流石ぁおいしゃん、よう知っとらっしゃー! |
大 | こんくらいなこつぁ、ちょちょいのちょいたい! |
A | そんならそン頃の平尾村にゃ、何軒くらい家があったかも、知っとらっしゃーと? |
B | そりゃぁ《むごか》質問バイ。なんぼおいしゃんでも、そげな細(こま)か家の数まで知っとらしゃはずなかろうもん。 |
大 | ところがどっこい、聞いてらっしゃい、見てらっしゃい、ご用とお急ぎでない方はずずーっと前へ出ておいで・・・ |
C | ひゃーひゃー! おいしゃんな、ほんなこつ知っとらっしゃーごたるバイ。 |
A | こりゃぁ耳の穴かっぽじって聞いとかにゃ・・・ |
大 | 早速ながら、手前取りいだしましたるこの貴重な資料、そんじょそこらの代物(しろもの)とはちょと違う!(タンタンタンと扇子でテーブルをたたく) |
B | いよっ、おいしゃん名調子!! |
大 | 頃は元禄15年師走(しわす)半ばの14日、大石内蔵(くらのすけ)助を筆頭に、主君の仇討ち果たさんものと、雪を蹴立(けた)ててサクサクサクと・・・おっと違った、ひっひっひっ!・・・ |
C | おいしゃん、おいしゃん、抑(おさ)えて抑えて! |
A | 頃は明治半ばの22年、五ケ村合併その時に、平尾の住民いかにと見てやれば・・・ |
大 | おっとっとっと、そうやった! では、改めて・・・その時弁慶少しも慌てず、気を取り直しおもむろに、手元の資料に目をやれば、な、なんと、なんとォ! |
B | おいしゃん、云う方もきつかろうバッテン、聞く方も《ばさろ》疲れるゥ! |
大 | おいしゃんも疲れた! ところで、話はどこまでしとったかいな? |
C | 合併時点の平尾の人家と住民の数のこつバイ。 |
大 | おーおーそうやった! 公式記録によると、人家は驚くなかれ、わずか『106軒』、住民ときたら、しめてたったの『640人』! とほほほほ・・・ |
A | 平尾全部でたったそれだけしか、住んじょらんやったと? |
B | 平小生徒ン数より少なかじゃんね。 |
C | その辺のおおっかマンション一棟分もなか。 そりゃぁさみしかったろうバイ。 |
大 | しかもそン頃の平尾ちゅうたら、今よりばさろ広うてな、西鉄線路の東側の白金やら大宮を含み、南側は市崎から平和町までが平尾村やったとバイ。 |
A | そんなら、家ちゅうたら、あっちゃにポツン、こっちゃにポツンとあるくらいで夜道は真っ暗で、さぞ《えすかった》ろうバイ。 |
大 | 《えすか》どころか、八幡さんから公民館辺りの高台一帯は、雑木林に覆われてヤブの中にゃ、胴周りは一升瓶位はあろうかちゅう大蛇が住みついちょったげな。 |
B | 又々おいしゃんな、おったちばおどかそうと、そげな作り話ば引っ張り出して・・ |
大 | 何が作り話じゃろかい! まぁこン話ン続きは、又ン機会にしてやるたい。 |
C | そんならここらで一休みーっと! |
A | あーあーおいしゃんばお守りするとも《やおいかんバイ》!! |
B | 《とつけむのう》くたびれたぁ! |
お終い |
平尾商工連合会
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